おばあちゃんを駅まで送ってあげる、たとえばそんな接客をしたいから
小さい頃、自然とやっていたことが、自分が好きな仕事に通じるのかもしれない。家に来たおじちゃんにお酌をしたり、おばあちゃんに道案内をしたり。
大人になってからも、そんな自然と体が動くことを仕事に出来たら、好きなことを仕事にしていると胸を張って言えるのかもしれない。
今回は、パラレル求人をきっかけに、ゲストハウス品川宿で働き始めた人に話を聞いてきた。
今までと違うなにかを求めて、新しい場所で働き始めるって、どんな感じなんだろうか。
約2ヶ月ぶりに訪れた、ゲストハウス品川宿。
4月からここに加わったのは、志村照恵さん。フルタイムで働きはじめて、フロントでお客さんを案内している。
ここで働き始める前も接客の仕事をしていて、転職してきた。
「子どもの頃のように、戻りたいなって思ったんです。」
志村さんの実家は、新潟県で民宿を営んでいて、小さい頃からいろんな人に囲まれて育った。
「小さいときにおじちゃんと呼べる人がいっぱいいて、気づいたらお酌をしていました。でもそれを接客だと思ったことはなくて。常連さんの、なになにおじちゃんとかに一緒に遊んでもらったりしていて、そういうのが思い出として残っているんです。」
前の職場は、大手高級ホテルで、接客だけでなく、その経営スタイルも勉強したいと思い入社した。配属されたのは、ホテルの中にあるレストランだった。
「メニューは難しい名前のものが多くて、写真があるわけでもないので、1つ1つ説明してオーダーテイクに10分くらい使うんです。」
「料理の由来とか食材の勉強をして、ワインならぶどうの品種の勉強をして、料金に見合う料理やワインであることを納得してもらう必要もありました。」
少し言い方を変えれば、セールストークをしなければいけなかった。ノルマとまではいかないけれども、少しそういう雰囲気もあった。
勉強になることは多かった。高級レストランのマナーとして、お客様は「すいません」と大きな声でスタッフを呼んではいけないことになっている。だから、自分からお客様のもとへ行かなければいけない。
ちょっとした所作で、左利きだと気づいて教えてくれる先輩もいる。それに合わせて、ナイフとフォークの位置を逆にしたりもした。
勉強にはなる、でも、気持ちが納得できなかった。
「たとえば、おばあちゃんを駅まで送るようなことは出来ないんです。地図を印刷して渡すことは出来るけど、それでは私の気が済まない。駅までついていってあげたいなとか思う。でも、そのホテルは、そういう接し方をするところではなかったから。」
仕事も、お客様の要望に合わせて外出先やホテル内の案内をするベルスタッフをしたかったから、異動の希望も出し続けた。足りないスキルがあるのかなと英語の勉強もした。でも異動は出来なかった。
だんだん「やりたいことを出来ていないこの時間はなんなんだろう」と思うようになっていった。
子どもの頃の、民宿で過ごした時間を思い出して、あの頃のような場所で仕事をしたいと思い退職した。お客さんとの距離が近いところが良かった。
最初は、紹介で高級ホテルなんかも受けたけれど、なにか違和感があった。
そこで、検索に使い始めたキーワードは「小さい宿といえば」だった。
元々は、レストランスタッフよりも、お客さんを案内するベルスタッフをやりたかったし、英語の勉強もしていたから、その力も試してみたいと思っていた。最初は意識していなかったけれど、ゲストハウスってありかも、と思い始めた。
実は、志村さんは学生時代にこの近くに住んでいて、ゲストハウス品川宿を知っていた。
「品川宿の商店街を歩いていると、このゲストハウスから笑い声がいつも聞こえていました。」
「アルバイトで働きたいと思ったんですけど、当時は学生アルバイトの募集がなくて。近くに住んでいたので、泊まりにくるわけにもいかないし、結局入れずにいました。」
ゲストハウスで働くことを考えて、不安がなかったわけではない。英語を勉強していたとは言え、接客で使うのは初めてだし、観光案内や歴史の説明は難しい。
でも、次に始める仕事は、好きなことで長く続けたいと思っていた。剣道は15年続けられたけれど、それはやっぱり好きだったから。
ゲストハウス品川宿の求人を見つけて、入りたくても入れなかったあの頃を思い出し、思い切って応募した。
働きはじめて、どうですか?
「みんな笑ってて、あの時に聞こえていた笑い声のイメージと一緒だなと思っています。」
これからは、実家の民宿のことも少しだけ意識しながら、マネジメントのことなんかも学んでいきたいのだそう。
好きなことを仕事にするって難しいことだと思う。仕事って職種だけで決まるわけではなく、どんな場所で、どんな人と一緒に働くかで、大きく変わってくる。「そもそも好きな仕事ってなんだ?」とか考えてしまうし。
だからこそ、自分を納得させずに、「好きな仕事」を求め続けるべきなのかもしれない。
〈特集〉ゲストハウスから広げる世界 -宿場ジャパン-
- 〈特集〉ゲストハウスから広げる世界
- 宿から、地域と訪れた人を、つなぐ
- ゲストハウスと地方自治体がつながって、地域おこし
- おばあちゃんを駅まで送ってあげる、たとえばそんな接客がしたいから
- やりたいことが磨かれる、ゲストハウス品川宿の、多彩な日常
株式会社宿場ジャパン | |
募集職種 | 宿泊施設のスタッフ |
仕事内容 | フロント業務、清掃 業務、観光案内、地域活動 |
働く場所 | ・ゲストハウス品川宿(東京都品川区) ・Bamba Hotel(東京都品川区) ・Araiya(東京都品川区) ゲストハウス品川宿が主な仕事場所になります。 |
働く時間 | ①週5日、7:00~22:00の間の8時間、シフト制 ② 週3日以上、7:00~22:00の間の4〜8時間シフト制 |
求める人物像 | ・人が好きで、「人との距離感」がつかめる方 ・健康で、素直さ、ポジティブさ、タフさを兼ね備える方 ・自ら課題を見つけ、解決できる方 ・多文化共生の社会を一緒に作っていける感性をお持ちの方 |
雇用形態 | ①契約社員 ② アルバイト |
給与 | ①180,000 円〜250,000 円/月(社会保険有り) ② 時給940円、交通費300円/日 |
募集予定人数 | 若干名 |
選考プロセス | 応募・問い合わせフォームより、お名前/メールアドレス/電話番号/ご年齢をお送りください。担当者から追ってご連絡させていただきます。質問や、勤務のご希望・ご相談等も受け付けております。 |
その他 |