やりたいことが磨かれる、ゲストハウス品川宿の、多彩な日常
「僕の旅の定義は『時間に縛られず、知らない土地を歩くこと』」
これは、今回話を聞いた、ゲストハウス品川宿で働く朝倉拓さんが出版した、本の中の一節だ。「冒険のはじまり」というタイトルで、世界一周の後に電子書籍として出版した。
朝倉さんは、旅から帰ってきて、日本のゲストハウスで働き始めてからも、知らない土地を歩き続けているように感じた。
朝倉さんは、大学3年生の時に、休学をして世界一周をした。その時の体験が、自身のその後の軸を形作った。

「世界一周を振り返った時に、その地で知り合った人によって、国の印象が全然違いました。」
「例えば、マチュピチュの絶景もすごかったんですけど、そこで偶然知り合った日本人の方との思い出が、鮮明に残っているんです。」
この体験から、人とのふれあい、特に「再会」を日常にしていきたいと考えるようになった。
「そのマチュピチュで会った人が、僕の地元まで遊びに来てくれたんですよ。地元は、横浜と鎌倉の間くらいのところです。」
「地球の反対側で会った人と、鎌倉駅で再会した時は、鳥肌が立つような感覚でうれしかったんです。それから再会を軸にしようと思いました。」
旅先で人とふれあえたのは、ゲストハウスという場があったから。
「自分で、ゲストハウスを開業したいと思っていました。」
「就職活動をして、ゲストハウスをいくつか経営している会社に入りました。ゲストハウス品川宿の前に、別のところで働いていたんです。」
ただ、半年もしないうちに、考えもしなかった事業の立上げに参画した。
「インドでラーメン屋を開く、という新規事業です。実家がラーメン屋だったのと、あとはインドに行かせられる人が、なかなかいなかったのかなと思います(笑)。」
インドに着いた時は、店舗はあったが、人集めも、プロモーションも、メニュー作りもこれからだった。
「インドには1年くらいいて、ある程度お客さんが来てくれるようになりました。」
「ただ、だんだん実家の手伝いと変わらなくなってきて、『あれ?』と思い始めたんです(笑)。立ち上げるのは楽しかったんですけど。」
その会社のゲストハウス事業に戻る選択もあったが、改めて今後のことを考え始めた。
「知人から、ゲストハウス品川宿の代表の記事が送られてきて、読んでみたらすごくおもしろそうだと思いました。」
「『地域密着』というキーワードに惹かれました。鎌倉にも、いくつかゲストハウスがあって泊まったりしましたが、ここまで地域に根付いているゲストハウスは少ないと感じたんです。」
そんな偶然の紹介もあって、1年半くらい前から、ゲストハウス品川宿で働き始めた。
「再会」という軸の他にもうひとつ、地元・横浜を、地元民ならではの視点で観光案内したいと思っている。
「横浜って、発祥の地が多いんですよ。ガス灯や近代水道、アイスクリームも横浜発祥で、廻るだけで結構おもしろいんです。」
「海外の人には、横浜はまだまだ知られていません。大桟橋という国際船が着くターミナルがありますが、到着時に『東京に到着』という案内をしているんです。」
「なんかちょっと悲しいなという感じがします。みなとみらいなどの大きなスポットもありますが、開港の歴史もあるので、他にも推し方はいろいろあると思っています。」
ゲストハウス品川宿には、外国人向け観光案内所「問屋場(TOIYABA)」があったり、日常の仕事の中で、宿泊客に観光案内をしている。

「ここでは、お客様にゲストハウスを好きなってもらうというより、品川宿という街を好きになってもらうというコンセプトが強いんです。」
「例えば、ゲストハウスのスタッフ同士で、商店街の店に行って、『SNSで発信したいんですけどいいですか?』と聞いて、写真をとってFacebookで発信しています。」
「これまでも僕個人で知人を案内することもありましたが、自分がいいと思っているところへ連れて行っていました。ここでは、スタッフのみなさんがいくつかプランをご提案して、お客さんの要望も聞きながら案内しています。日々のそういった振る舞いが、勉強になっています。」
そうして、街をアピールしたり、観光案内を重ねるうちに、自分の考えも少しずつ変化していった。

「今は、ゲストハウスというより、小さな空間を持ち、そこで観光案内やイベントなどを開きたいと思っています。」
「品川宿の近隣のお店に行くうちに、カフェとかいろんな空間を見て、考えが広がりました。人がふれあう場を作りたいと考えた時に、必ずしもゲストハウスでなくてもいいのかな、と思いはじめたんです。」
「ただ、場所が欲しいという気持ちは、より実感できました。いろんな人と話して、品川宿すごいねとか、横浜の紹介をした人に『行ってきたけどすごかったよ』と言われるとうれしいんです。」
気持ちの変化に合わせて、新しいアクションも起こし始めている。
横浜で、三輪自転車型タクシー「シクロポリタン」で観光案内を始めた。
「シクロポリタンを偶然見つけて、すぐに応募しました。今は週に数回、バイクを漕ぎながら観光案内をしていて、横浜に比重を少し置いています。」
「元々はフルタイムだったので、マネジャーの遠藤さんに相談して、少し勤務を減らしてもらいました。」
「『いいじゃん、やんなよ好きなこと』って言ってくれて。お姉ちゃんみたいな感じで、いつも心配されているんですよ(笑)。実は、去年の12月くらいにも、『最近もやもやしているんです』って相談していました。」
代表の渡邊さんの紹介で、「神奈川宿」という宿場町の活動にも参加し始めた。
「品川宿は街に活気がありますが、神奈川宿は再開発の影に隠れてしまい、これから盛り上げていこうというフェーズです。こことは、また違った経験が出来ています。」
「代表が紹介してくれたのは、新しいコミュニティに入ったり、違う経験をしてみるのもいいんじゃないかと、考えてくれたからだと思うんです。代表には、真面目な話からしょうもない話まで、いつも相談していましたから。」
「少しもやもやしていた時期に、察してくれて、代表が旅行に連れてってくれたこともありました。二人で一緒に、長野にある姉妹宿に行って、サプライズで知り合いを呼んでくれたりしました。」
「道中は車を運転しながらいろいろ話したりして、相談の旅でした(笑)。」
「これから先のことは、まだはっきり決めていませんが、神奈川宿や横浜の活動も続けながら、考えていきたいと思っています。」
ゲストハウス品川宿を運営する、株式会社宿場ジャパン代表の渡邊さんの紹介ページには、こう書かれている。
『地域の小さな宿の感動から地域と世界をつなぎ、人や文化に寛容な人材と多文化共生社会を目指します。』
自社が掲げるビジョンだけでなく、働く人それぞれのビジョンも共有し、後押ししてくれる土壌が、ここにはある。

〈特集〉ゲストハウスから広げる世界 -宿場ジャパン-
- 〈特集〉ゲストハウスから広げる世界
- 宿から、地域と訪れた人を、つなぐ
- ゲストハウスと地方自治体がつながって、地域おこし
- おばあちゃんを駅まで送ってあげる、たとえばそんな接客がしたいから
- やりたいことが磨かれる、ゲストハウス品川宿の、多彩な日常
株式会社宿場ジャパン | |
募集職種 | 宿泊施設のスタッフ |
仕事内容 | フロント業務、清掃 業務、観光案内、地域活動 |
働く場所 | ・ゲストハウス品川宿(東京都品川区) ・Bamba Hotel(東京都品川区) ・Araiya(東京都品川区) ゲストハウス品川宿が主な仕事場所になります。 |
働く時間 | ①週5日、7:00~22:00の間の8時間、シフト制 ② 週3日以上、7:00~22:00の間の4〜8時間シフト制 |
求める人物像 | ・人が好きで、「人との距離感」がつかめる方 ・健康で、素直さ、ポジティブさ、タフさを兼ね備える方 ・自ら課題を見つけ、解決できる方 ・多文化共生の社会を一緒に作っていける感性をお持ちの方 |
雇用形態 | ①契約社員 ② アルバイト |
給与 | ①180,000 円〜250,000 円/月(社会保険有り) ② 時給940円、交通費300円/日 |
募集予定人数 | 若干名 |
選考プロセス | 応募・問い合わせフォームより、お名前/メールアドレス/電話番号/ご年齢をお送りください。担当者から追ってご連絡させていただきます。質問や、勤務のご希望・ご相談等も受け付けております。 |
その他 |