宿から、地域と訪れた人を、つなぐ


「ジャガイモ」。建物に入ると、カラフルなポップが目に飛び込んできた。

今回訪れたのは、「ゲストハウス品川宿(しながわしゅく)」。どうやら、お客さんや町の人と一緒に、ジャガイモパーティーをやったらしい。ちなみに「ジャガイモ」は、近所のお店が、奄美群島の1つである徳之島の農家さんからいただいたもの。そのお店の人と何か出来ないかなと一緒に考えて、ゲストハウスに人を招いてパーティーを行うことにした。

「旅好きな人に徳之島いいなと思ってもらえたら、ということでイモパーティーです。ジャガイモをマッシュしてお好み焼きにしたり、じゃがバターにしたり。お客さんが自分も準備したいと言って、そこの受付でまな板と包丁で調理をしたりして、自分は仕事しながら、なんか小料理屋に来た感じでした(笑)。結構徳之島に行きたいと言う人もいたので、成果が出たかなと。」

スタッフとして働く鈴木さんがそう話してくれた。旅の途中で立ち寄った人と、町の人と、ジャガイモを食べながら徳之島の話をする。ここでは、そんな普段巡り会えないような、つながりを創っているようだ。

 

ゲストハウス品川宿は、2009年10月に品川でオープンした。外国人観光客向けに、道案内や観光情報の提供、お困り事の解決を行う観光案内所「問屋場(TOIYABA)」も設置している。

運営するのは株式会社宿場ジャパン。ゲストハウス品川宿の他に、一軒家ホテルBamba Hotel」「Araiya」の運営や、ゲストハウスの開業支援を行っている。

今回の募集は、フロント業務や清掃、観光案内、地域活動を行う人。訪れた人と地域の人のつながりを創り、宿からコミュニティの輪を広げていく仕事です。ゲストハウス品川宿がメインですが、Bamba HotelやAraiyaでの仕事も行います。

複業的な関わり方が可能で、実際にフルタイムの仕事の傍ら、将来の開業を目指して、休日に働くスタッフもいるのだとか。

 

品川駅高輪口から5分ほど歩くと、ビジネス街・品川とは少しイメージがちがう商店街が見えてくる。

ここは、東海道五十三次の宿場の1つで「品川宿」と呼ばれる場所だ。宿場とは、公用の荷物や通信物を届けるために、江戸時代に整備された街道拠点のこと。文字通り、旅人を宿屋に泊めたり、休ませたりする施設が多く、栄えていったそうだ。周辺には史跡が多く残るため、外国人観光客が多く訪れる。

ゲストハウス品川宿は、商店街の入り口からさらに5分ほど歩いたところにある。

 

泊まりに来たお客さんが、出会い、話す場所「コモンルーム」で、代表の渡邊さんに話を聞きました。

渡邊さんは、品川と「地縁」があり、ここで宿を始めたそうだ。

「祖父がこの地で食肉問屋を創業していたのですが、僕が高校3年生の時に、家業を継がないと言ったら、家を出されたんですね。その後、大学卒業後に就職した会社が全国系なのに、東品川に配属されたり、飲み屋もチェーン店にはあまり行かないので、赤ちょうちんを求めてこの商店街をぶらぶらしたりとか。この地から離れられない引力を感じたんですよね。」

大学での観光の勉強、バックパックを背負った一人旅、20を越えるホテルでのアルバイト。そんな経験で感じた疑問や想いが、今のゲストハウスの運営につながっている。

「観光をずっと勉強していた時に、品川宿は宿場なのになんで宿が無いのかなと思って。その後、ホテルでアルバイトをしていたんですけど、なにか泊まる人の拾えていないニーズがあるんじゃないかなと思ったんです。その時は言葉に出来なかったんですけど。その後、バックパッカーをやって、地べたに近いサービスを、地域で面で広めていくというのをやりたいと思って始めました。」

その当時、ゲストハウスは国内であまり広まっておらず、この地域から風穴を開けるつもりで始めた。商店街の人々は、開業時の保証人を引き受けてくれたりと、応援してくれている。

「商店街の人には、褒められたり怒られたりあるんです。ただ、これから民泊とかで出てくる問題を、僕らが先にトラブルシュートしているとも思っていて。家まで徒歩10分の距離を『ちょっとちょっとそういえばさー』と呼び止められて、2時間くらいかかって帰ることもあって。近くて遠い我が家みたいな(笑)。2時間を楽しんで帰ってるんですけどね。」

 

地縁がきっかけで、品川宿で開業したゲストハウス。そこから生まれるつながりは、少し濃いようだ。

「本当にうちが好きなお客さんとかは、僕らの代わりに商店街1件1件挨拶して周って、そこの斜め向かいの蕎麦屋で、なんか一生懸命蕎麦売ってたりとか。僕なんかも、外国のお客さんにアメリカ行くんだって言ったら、是非うち来てくれって空港まで迎えに来て、案内してくれたりとかありました。こっちはお金もらってやっているけど、お客さんの中には、やってもらった以上のことをやりたいと思ってくれている人が、たくさんいるんだって感じたりしています。」

ある月曜日の朝には、バンカラの大学応援団員と、修行中のお坊さんと、元レースクイーンのお姉さんが、コモンルームで話していたこともあった。

「月曜の朝から最高でした(笑)。」

本当にいろんな人が訪ねてくるようだ。これからも、様々な人に訪れてもらい、何より「地域」という単位でコミュニティを創っていきたいそう。

「地域全体の魅力を発進することで、経済的な面も含めて、お客さんが町を評価してくれることを目指したい。うちで将来開業を目指して働いている子たちが、地元に帰って町の宿を作って、地域コミュニティを創ったり。その地域ごとにコーディネーターを置いて、地域間を往来して、共通の地域性やそれぞれの違いを感じてもらったりとか。訪れる人や働く人の人生を充実させていきたいんですよね。」

 

マネージャーの遠藤さんにも話を聞きました。

遠藤さんは、京都のゲストハウスで働いた後、もう少し幅広いサービスを学びたいと思い、ホテルでコンシェルジュとして働いた。そこで改めて、親しみのあるゲストハウスの方が自分に合っていると感じ、3ヶ月ほど前からここで働き始めた。

コモンルームのすぐ隣のフロントから、お客さんと話したい気持ちと、いつも戦っている。

「話したいし、でも事務作業もしなきゃいけないし、せめぎ合いですね。パソコンでカチャカチャってやりながら、コモンルームの方を向いて話しかけたりしています。お客さんも、話そうという気持ちを持っていらっしゃってくれていますし、話しやすいんです。」

フロント業務の傍ら、問屋場の仕事もこなす。少しマニアックな外国人も来るそうで、ある時「エクセキューション」という単語で場所を尋ねてきた。「処刑」という意味で、品川にある処刑場跡地を訪れたかったらしい。普段、観光地案内に慣れていても、いろんな人が来るから日々勉強させてもらっている。

ゲストハウスのお客さんは、半分くらいが外国人で、もう半分は旅行客や出張の会社員、就活生など、様々なバックグラウンドの人たち。お客さんに応じて、接客の仕方は変えているそう。

「ガラッと入ってきた時の表情には注目しています。仕事でお疲れの方もいますし、部屋でゆっくりしたい方もいらっしゃるので。」

でも、本当に人好きだから、どんどんいろんな人に来て欲しいという。

「イベントをいっぱいやっていきたいです。たこ焼きとかお好みとか食べ物で。人に来て欲しいですね。」

前に、ここで働いていた人とのつながりも深い。

「以前ここで働いていたスタッフが、独立するために神戸に帰って行ったんですけど、顔出しに来てくれたことがあって。最初はスタッフ3人でご飯の予定だったのに、どんどん増えて最終的に8人くらいになって。あの時はこうだったーとか話して、何でも共有出来るんだというのを、改めて認識出来たのがうれしかったです。本当に1つの家族みたいな感じで。」

このゲストハウスで働く人は、将来独立したいという人も多く、遠藤さんもそう考えている。

「まだ何も決めてないんですけど、まずは自分の新しい家族を。子どもとパートナーとの生活を一番大事にしたいので。それを安定させられた後に、自宅の一角にオープンしたいなって思ってます。」

 

異業種から、ここに加わった人もいます。アルバイトスタッフとして働く鈴木さんです。

鈴木さんは、以前アウトドアの量販店で働いており、その後2年半くらいワーキングホリデーやバックパッカーで海外を廻ったそう。半年ほど前から、ここで働いている。

「ここではフロント業務がメインですが、様々な宿泊目的や職業の人がいて、違う価値観を持ってきてくれるんです。前の職場では小売業の接客でしたが、出会える価値観が限られてきたんですよね。1、2年はおもしろいなと思ってましたけど、歳をとってちょっと生意気になっちゃったんです(笑)。」

今は、フロント業務や、お客さんの荷物運び、そして「ジャガイモ」パーティーなど、いろんな場面で、いろんな人とふれ合っている。

「今楽しいんですよ生きてて。コモンルームのような時間をずっと過ごしていければいいなと。1つのことに縛られず、楽しい人とコミュニケーションをいっぱいとって、いろんな価値観をもらえることが、僕にとっては一番価値があること。」

実は、鈴木さんは今デザインの専門学校に通っており、学校と仕事のパラレルな生活をしている。デザインの勉強をしようと思ったのも、海外で訪れた町で感じたことが大きい。

「町の印象を一番最初に植え付けるのが、視覚的なものなのかなと思っていて。町への興味を植え付けられるのが、デザインなのかなと。」

まだデザインの勉強を始めたばかりと言いながらも、町おこしにデザインを活かしていきたいそう。

「町おこしは、定義があいまいで、何でも出来る。遠藤さんはホテルとかの経験を活かして、僕はこれから培うデザインで自分を出していければいいのかなと。」

 

ゲストハウス品川宿は、訪れるお客さんと、町の人と、ゲストハウスで働く人の、垣根ないつながりを創っている場所でした。渡邊さんは笑いながら「違いすぎておもしろいと思えないとやっていけない」とも。そんな日常に飛び込みたい人は、ウェルカム!

(吉田大樹)

 

株式会社宿場ジャパン
募集職種 宿泊施設のスタッフ
仕事内容 フロント業務、清掃 業務、観光案内、地域活動
働く場所 ゲストハウス品川宿(東京都品川区)

Bamba Hotel(東京都品川区)

Araiya(東京都品川区)

ゲストハウス品川宿が主な仕事場所になります。

働く時間 ① 週5日、7:00~22:00の間の8時間、シフト制

② 週3日以上、7:00~22:00の間の4〜8時間シフト制

求める人物像
  • 人が好きで、「人との距離感」がつかめる方
  • 健康で、素直さ、ポジティブさ、タフさを兼ね備える方
  • 自ら課題を見つけ、解決できる方
  • 多文化共生の社会を一緒に作っていける感性をお持ちの方
雇用形態 ① 契約社員
② アルバイト
給与 ① 160,000 円/月〜(社会保険有り)
② 時給940円、交通費300円/日
募集予定人数 若干名
選考プロセス 応募・問い合わせフォームより、お名前/メールアドレス/電話番号/ご年齢をお送りください。担当者から追ってご連絡させていただきます。質問や、勤務のご希望・ご相談等も受け付けております。

※応募・問合せ先のフルダウンは「〈特集〉ゲストハウスから広げる世界」をご選択ください。

その他

 

 


2017年03月27日 | Posted in 特集:ゲストハウスから広げる世界 | タグ: 1 Comment » 

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