未来を生き抜くために、防災をアップデートする


恒例の避難訓練はなんだか億劫で、小さい頃なんかは、押して、駆けて、喋って、怒られていた。

「もしも」のための備えは、大切だと分かりつつも、なかなか積極的になれない。

でも、日本は地震大国だし、最近は気候変動も叫ばれているから、そろそろ防災のあり方に、イノベーションが必要なのかもしれない。

 

一般社団法人防災ガールは、防災があたりまえの世の中にするために、いくつものプロジェクトを手がけている。

東日本大震災から2年後の2013年3月11日に設立され、さらに2年後の2015年3月11日に一般社団法人となった。

今ある「あたりまえ」を常に疑いながら、新しい防災の概念を、様々な形で提起し続けている。

 

東京本郷三丁目にある、「social hive HONGO」を訪れた。全国を廻る防災ガールの、東京の拠点だ。

 

代表の田中さんは、2011年4月にITベンチャーに就職し、復興支援を目的とした公益社団法人でのボランティアと転職を経て、防災ガールを設立した。今回は、滋賀県からリモートでの参加。

「公益社団法人では、一般メディアには映らない、もっとリアルな情報を伝える活動をしていました。メディアは少しきれいに編集された情報を伝えますが、それに対して『本当かよ』と、少しうがった目線で見ていたんです。」

「実際に現地に行って、楽しく生活している人や、反対にもっと辛い想いをしている人たちにも話を聞きました。メディアには出ない、小さいけれど正しい情報を届けていました。」

活動をする中で、復興支援から防災へ、関心が徐々に移り始めた。

「復興支援は起きた被害への対処ですが、そもそも被害が起きないようにする防災が、もっとリアルに大切なことではないかと思ったんです。」

「ただ、これまでを振り返って、テンション高く『防災やりたい』と思えたことがありませんでした。」

 

公益社団法人は公(おおやけ)に近い機関だったので、自分のやりたいことを実現するために、防災ガールを設立した。

「たまらなくやりたくなる防災って、何だろうと考えました。」

「おしゃれなのか、体験型なのか、新しいテクノロジーを使ったものなのか、いろんなパターンで防災を試していく必要があると思ったんです」

「自分で試して、ちゃんと信じられることをやりたいと思っていました。」

 

防災は、顕在課題を解決する事業とは、少し異なる。

「世の中の一般的な事業は、困っている人の課題を解決します。」

「一方で、私たちが取り組む『防災』というテーマは、日常のなかで致命的に困っている人はいません。被災してから防災の重要性に気づき、初めて課題が顕在化します。」

「ただ、災害の被害規模はものすごく大きいので、事前に防ぐ手立てを講じる防災という分野は、この日本で必要不可欠なものです。」

「まだ目に見えていない社会課題に対して攻めていく、というのが難しいところであり、やりがいを感じるところです。」

 

潜在課題へアプローチするために、様々な側面から思考を巡らせる。

「防災をあたり前にするために、これまでの手法にとらわれず、柔らかく考えようと意識しています。」

「正しいと思える知見やデータは頭に入れつつ、自分たちがやりたいと思えるかどうか、という感覚も大事しています。」

「歴史的な情報を紐解いて過去にも遡りますし、未来を想像して、これからの地球がどうなるかも考えます。」

「いろんな側面を行き来して、自分たちに問い続けながら、アイディアを考え実行しているんです。」

 

生き抜く知恵の実験室 “WEEL”は、2017年7月から始めた新しい試みだ。滋賀県長浜市の一軒家に暮らしながら、古くから自然災害と共にあった日本の生活に目を向けて、生活の中の防災を探し出しアーカイブしている。

「暮らしの中に、防災がインストールされている状態を作りたいと思ったんです。無理をしてプラスする防災ではなく、暮らすことそのものを防災にすることは出来ないか、と考えました。」

例えば、阪神・淡路大震災の際のデータに、ご近所さんとの助け合いが、多くの命を救ったというものがある。

そこで、長浜市に移住後、ご近所さんとの関係作りの方法を考え、交わりの場として縁側作りなんかもして、実行結果をレポートとして発信している。

「本当に効果があるんだろうか、ということを検証して、実際に良いかどうかを感じながら発信しています。」

「机上の空論にしない、ということを私たちは大事にしています。物事をうがった目で見るのが癖なので(笑)。」

 

#beORANGE(ハッシュビーオレンジ)は、オレンジフラッグの設置を啓発する、津波防災のプロジェクトだ。オレンジフラッグは、従来より使われる、海にいる人に津波が来たことを知らせるサインだ。

「オレンジフラッグの普及にあたって私たちがやったことは、SNSなどを活用して、盛り上がっている様子を発信したり、演出することです。」

ネット以外にも、いろんなルートから知ってもらおうと、動いた。

「オレンジミサンガを作って販売したり、紙の新聞を作って配ったりしました。オレンジミサンガは、丈夫な素材で出来ていて、災害時に12の用途で使うことが出来ます。」

「ファッションアイテムとして好き、という入口からも知ってもらいたいと思いました。」

「普及させるために、全方面で張る、ということをやったんです(笑)。」

 

長期的な目線で、より広く普及させるために、画策していることがある。

「オリンピックまでに、オレンジフラッグの条例化や努力義務化を進めたいと考えています。」

「これまで、個別に行政の方々と話してきましたが、途中で担当者が異動になったりもします。確実に広めるためには、法律の領域からのアプローチも必要だと考えました。」

「今年の10月には、オレンジフラッグのサミットを開く予定です。全国の防災担当者に集まってもらい、私たちの取り組みを伝え、横のつながりも作っていきたいんです。」

「これまでは私たちが全国を動き回っていましたが、これからはプラットフォームになっていきたいと考えています。」

 

筒木(つつき)さんは、複業期間を経て、今年の4月から防災ガールに共同事務局長としてフルジョインした。

「防災ガールには、設立半年後から関わっているので、古株です(笑)。」

「学生時代に、震災のボランティアをしていて、がれき撤去などをしていました。ただ、社会人になってからは仕事も大変で、現地まで行くような活動は出来ていなかったんです。」

「そんなもやもやしていた時期に、たまたまイベントで田中さんに会って、『防災ガールになっちゃいなよ』と言われたのが、関わり始めたきっかけです。(笑)。」

 

最初の約3年半は、複業として防災ガールの仕事をしていた。

「防災ガールでは、コラムを書いたり、SNSの運用やアクセス分析などをしていました。本業は、Web制作を受託する会社でディレクターをやっていました。」

「防災ガールと会社、それぞれで得た知識を、それぞれに活かせていたことは、複業の魅力でしたね。」

「会社では顧客の要望を受けたクリエイティブを制作する仕事でしたが、防災ガールは自分たちのサービスです。なので、自分で考えた仮説をすぐに試して、フィードバックを得られる楽しさもありました。」

「今年は、WEELが始まったり、ロゴやタグラインを見直したり、大きな節目の年だったので、思いきって防災ガールにフルで関わることにしたんです。」

 

防災ガールでは、半年ごとにメンバーを募っており、参画メンバーがやりたいことを実現出来るように、努めている。

「まずは、何をしたいのか、どうなりたいのか、を聞くことから始めます。要望を受けて、やりたいことに合わせた仕事をしてもらうこともありますし、新しいプロジェクトとして動き出すこともあります。」

「例えば、自分が勤める企業と防災ガールをコラボさせたい、という人もいました。自社イメージの向上をミッションとした部署にいたようですが、自主的に、社外に学びを求めてジョインしてくれたんです。」

「ジョインしてくれた人とは、変化していく未来を、一緒にわくわくしながら描いていきたいと思っています。」

ちなみに、田中さんや、筒木さんなどの事務局メンバーは、全国を廻っているから、コミュニケーションはリモートの場合が多いそうだ。

 

事業の幅も規模も大きくなり、ぶつかる壁もどんどん変化してきている。

「届けたい人の幅が広がってきたので、一つ一つのクオリティが求められるようになってきました。」

「使うワード一つにしてもそうですし、文章よりも動画の方が伝わりやすいこともあると思います。デザインも、これまでは自分たちでざっくりとやってきましたが、より多くの人に伝えるためには、デザイナーさんの力が必要だと思います。」

「オレンジフラッグでは、条例化や努力義務化に向けて、法律関係の知識も必要になります。私たちでは、出来ないことも出てきていて、様々なプロフェッショナルな方の力が必要なんです。」

 

防災ガールは、防災を新しいフェーズへ変化させるために、行動を起こし続ける。

「世の中を変える手法として、個別のプロジェクトから法律に近い分野まで、いろんなパターンの轍を作っていきたいんです。」

「私たちが市場を開拓して、他の団体も活動しやすくなれば、と思っています。防災ガールだけが進み続けても、防災は広がらないと考えているんです。」

 

取材後、「幅広く動いていますね」と言ったら、筒木さんが「これでもだいぶ絞っているんですよ」と笑いながら話していた。

今回話題に出た事業や展開は、防災ガールの一部でしかなく、きっとまだまだ引き出しにアイディアを忍ばせているのだと思う。

自分の知見でグロースさせたいと思ってくれた方や、これからの防災の話をしたいと思った方々の、ご連絡をお待ちしています。

(吉田大樹)

 

一般社団法人防災ガール
仕事内容 以下ページの掲載内容が主な仕事になりますが、希望に応じて仕事を創り出すことも可能です。

防災ガールメンバー募集

※パラレル求人からご応募いただく場合は、応募期日はひとまず気にしなくて結構です。

働く場所 リモートワークが基本となります。事務局メンバーは東京、滋賀、宮崎などを動き回っているため、リモートでの打ち合わせや、オンラインでのやりとりが中心になります。
働く時間 お仕事などの状況に応じて、柔軟に調整可能です。
求める人物像
  • 想像力をもって人やものごとに対峙できる人
  • 心に強いインパクトを与えることが好きな人
  • これまでにない新しいことに挑戦しているとき気分が高まりがち人
  • 新しいこと/新しいツールを使うことに苦手意識がなく、変化に臆せず挑戦できる人
  • 普段からSNSなどをよく使って少しでも自分の言葉で表現をしている人
  • コミュニティ/チームでの共に創っていく活動の経験がある人
  • 防災について何かアクションをしたいと思っている人
  • 防災ガールの目指すビジョンに共感し、自らのスキルや経験を活かしたい人
雇用形態 ボランティアでのジョインとなります
給与 ボランティアでのジョインとなります
募集予定人数 複数名
応募方法 以下のフォームより、お名前/メールアドレス/電話番号/ご年齢/応募動機(短くて結構です)をお送りください。担当者から追ってご連絡させていただきます。質問や、ご相談等も受け付けております。
その他 10月から2017年下期の活動を開始したいと考えているため、なるべく早めの応募をお願い致します。応募時期によっては、個別に活動方法を相談させていただきたいので、まずはご連絡いただければと思います。

 

 


2017年09月03日 | Posted in 日常の安全・医療・福祉, 求人 | タグ: No Comments » 

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