バーベキューで変える、うまい食材の届け方


産地、銘柄、品種、普段いろんな表示を見て、いろんなイメージを持って、肉や野菜を買っている。

でも、消費者が本当に気にしているのは、味と、安心。

生産者と直接話しながら、「まず食べてみる」場があれば、世の中に溢れる情報を飛び越えた、実感を届けることが出来る。

 

株式会社ファーマーズバーベキューは、食材の本物の美味しさを届ける、バーベキューの開催やプロデュースを手がける。テーマは、「生産者と生活者をつなぐこと」と「食育」だ。

湘南で「みやじ豚」というブランドで、養豚業を営む宮治勇輔さんを中心に、2017年8月に設立された。

 

今回は、地方と都市をつなぐコワーキングスペース”LEAGUE YURAKUCHO”を訪れた。

 

代表の宮治さんは、実家が代々続く養豚農家だったが、特別農業への関心が強いというわけではなかった。新卒では、一般企業に就職した。

「30歳までに起業しようと決めていました。高校時代に歴史小説を夢中になって読んでいて、『男たるもの天下をとる。起業を志そう。』と思っていました。」

「朝5時に起きて、ビジネス書を読んで勉強したり、将来の自分に想いを馳せたりしていました。時間を測って紙にやりたいことを全部書き出したりしていましたが、『フェラーリに乗りたい』とか『ロマネ・コンティを飲みたい』とか、最初はそんな感じでしたね(笑)。」

「自分の琴線に触れる本を読んでいましたが、知らず知らずのうちに農業の本を手にとるようになっていきました。次第に、どうすればうちの養豚業がよくなるかを、考えるようになっていったんです。」

 

自分なりに導き出した、農業界の問題点は2つだった。

「『生産者の名前が消されて流通すること』と、『生産者に価格の決定権がないこと』が問題だと思いました。」

「流通の過程で、いろんな農家の肉が一緒にされて、店頭では誰が育てた肉か分からないんです。」

 

大学2年生の時のバーベキューの思い出が、その2つの問題点を思い起こさせた。一方で、バーベキューで、その問題の解決も出来ると感じていた。

「友達を呼んでバーベキューをした時に、『こんなにうまい豚肉は食べたことがない!』と言ってくれました。豚の肉質コンテストに出した肉が戻ってきて、家族では食べきれないから、たまたま友達を呼んでいたんです。」

「ただ、その後『また食べたい!どこで売っているの?』と聞かれても、答えることが出来ませんでした。」

「どこのスーパーで売っているかまでは分かりますが、それが親父が育てた豚なのか、他の農場の豚なのか分からないんですよ。それが当時はすごいショックでした。」

「バーベキューなら、自分たちが作ったものを、その場で食べてもらうことが出来ます。」

「そして、満足してくれた人に買う方法を示すこともできれば、2つの問題が一気に解決出来ると考えたんです。」

 

農業をどうしたいか、何を実現したいか、さらにブラッシュアップした。

「農業を、生産からお客さんの口に届けるところまで、一環してプロデュースすることと定義したら、めちゃくちゃ魅力的だなと思ったんです。マーケティングも、営業も、例えばレストランのプロデュースも、そこまでひっくるめて一次産業と捉えようと。」

「一次産業を、格好良くて、感動があって、稼げる、3K産業にしよう思ったんです。よく一次産業は、きつい、汚い、危険という意味で、3K産業と揶揄されますが。」

「この言葉がひらめいた時に、会社を辞めて実家に帰って、親父の後を継ごうと決心できたんです。」

 

実家に帰ってから、描いたビジネスモデルを徐々に形にしていった。

「まずは、みやじ豚を直販出来る仕組みを作りました。農協にかけあったり、問屋を廻りました。」

「仕組みを作った後の、お客さんを獲得する手段が、バーベキューです。バーベキューで、味と生産者の想いを伝え、ファンになってくれた方が、また別のお客さんを連れて来てくれました。」

「バーベキューとは別に、取引先を増やそうと、飛び込み営業をしたこともありました。ただ、おいしいとは言ってくれるんですが、当時は無名のブランドにも関わらず値段が高かったので、成果はイマイチでした。」

「やっぱりバーベキューだと思い、ひらすらバーベキューをやり続けたら、じわりじわりとお客さんが増えていったんです。バーベキューに来た人が、取引先としてレストランを紹介してくれたこともありました。」

「だから、僕はこれを『バーベキューマーケティング』と呼んでいるんです。」

 

ファーマーズバーベキューは、みやじ豚で実践したバーベキューマーケティングを、他の生産者も巻き込んで行っている。宮治さんが代表理事を務める、NPO法人農家のこせがれネットワークで感じた課題が、創業のきっかけとなった。

「こせがれネットワークでは、農家を実家に持つ”こせがれ”に、農業の魅力と可能性を伝え、農業経営に対するビジョンを持って、帰農してもらうことを推進しています。」

「ただ、帰農した後は、NPO法人として手伝えることが少ない状態でした。」

「みやじ豚は、バーベキューでブランド化がうまくいったので、就農間もない小さな農家にとって、非常に良い武器になると思ったんです。」

「バーベキューの食材は、肉に限らず多様なので、いろんな生産者さんの応援が出来ると考えました。」

 

2回のプレオープンを経て、2017年8月26日にファーマーズバーベキューは正式オープンした。これから、毎週土曜日に開催していく。

「日本一おいしくて、日本一生産者と近いバーベキューにしたいと思っています。」

「一流のシェフは、食材が良くないと、手を加えたところで良い料理にはならないと言います。バーベキューも同じで、最高の食材を揃えてこそ、最高のバーベキューと言えると思っています。」

「全国の生産者さんからも、売り込みに来てもらえたら、と思っています。『うちの野菜使わないで、最高の食材とか言ってるんじゃねーよ』と(笑)。」

「実際にパプリカ農場の社長が、パプリカを箱ごと持ってきて、売り込みに来てくださいました。パプリカにバーベキューのイメージはありませんでしたが、丸ごと焼いて、黒く焦がして皮を剥いて食べたら、『うまっ!』となって、食材に加えることにしました。」

 

小さい子ども連れの家族の参加も多いから、食について、考えてもらうきっかけにしたいとも考えている。

「野菜農家が良く言うのは、うまい野菜だと、子どもは野菜嫌いにならないということです。ファーマーズバーベキューでも、お母さんに『うちの子、普段こんなに野菜もお肉も食べないんです』と驚かれることがありました。」

「野菜の生産者にも来てもらって、農業の話を直接してもらいたいなと思っています。生産者のストーリーをスパイスに、バーベキューを楽しめればと思っているんです。」

「子どもの食べた時のリアクションや、生産者の想いに触れた体験が、食について考えるきっかけになればと考えています。」

 

江原さんは、大規模施設の屋上で貸し農園などを展開する企業を経て、ファーマーズバーベキューにジョインした。

「前職では、貸し農園の農園長をやっていました。借り手に作り方を教えるのですが、当時は農業の知識がなかったので、農家へ修行しに行ったりしました。」

「大学では農業を学んでいましたが、『勉強したいのに畑に行かないじゃん』と思っていたところ、貸し農園の存在を知り、アルバイトから入らせてもらったんです。」

 

農業への関心は、実家が農家を営んでいたから。

「宮崎で、祖父母が米農家をやっていて、小さい頃は稲刈りなどを手伝っていました。」

「ただ、地域一帯で高齢化が進んでいて、これから耕作放棄地が増えていくんだろうなと感じていました。」

「幅広い学びを得て、ゆくゆくは宮崎に還元していきたいと思っているんです。」

 

ファーマーズバーベキューでは、店長を務める。農園長は退いたが、今でも貸し農園で畑仕事をしており、複業としてコミットしている。

「店長として、食材や、おいしい食べ方の説明をしたり、なによりバーベキューを楽しんでもらいたいと思っています。」

「さきほど宮治さんが言っていた、パプリカを丸ごと焼く話のように、『これがファーマーズの食べ方だぞ』と提案していきたいんです。」

「これまでは作る側だったので、これからは食べ方の勉強もして、伝えていかなければと思っています。」

 

「今後、別の地域でファーマーズバーベキューを展開していくことも考えています。」

「僕が全国指導に行って、『あいつが道筋作ったよな』と言われるようになりたいと思っています。」

「農業が好きなんです。だから、僕自身が楽しく農業に関わって、魅力を発信して、若い人に農業に戻ってきてほしいんです。」

 

“生産者に日本一近いバーベキュー”は、これから作り込まれていく。

「おいしく楽しく、生産者の世界観を伝えたいと考えています。」

「例えば、食材の生産者を伝えるポップを作ったり、生産者とライブ通信しようぜって企画もいいかもしれません。」

「お客さんへの細かい気配りや、伝える手段もまだまだ粗いので、一緒に世界観を作ってくれる人に、来て欲しいなと思っています。」

 

湘南から始まる、ファーマーズバーベキューのこれからの可能性は、広い。

「全国の他の地域で、バーベキューのプロデュースや、ノウハウの提供をしていきたいと考えています。」

「湘南のファーマーズバーベキューの肉はみやじ豚ですが、他の地域に行ったら、その地域のおいしい肉、おいしい野菜を食べられるようにしたいんです。コアなお客さんを連れて行って、新しい食材との出会いを演出するのも良いかもしれません。」

「これからも、本物の美味しさを追求する生産者と、生活者をつなげるためのアクションを、起こし続けたいと思っています。」

 

宮治さんのお父さんは、養豚歴50年。みやじ豚バーベキューをやった時、「おいしい!」と言ってくれるお客さんを目の当たりにして、これ以上嬉しいことはないって顔をしていたそう。

宮治さんは、この時のお父さんの顔を見て、「僕がやろうとしていることは間違っていない」と確信したそうだ。

全国には、宮治さんのお父さんのように、手がける農産物にこだわり抜いている生産者さんが、たくさんいる。

(吉田大樹)

 

《生産者指定のおいしい食材だけが集まるBBQ by FARMERS BBQ》

FARMERS BBQ from daiki Nakagawa on Vimeo.

 

 

  株式会社ファーマーズバーベキュー
求める役割 BBQスタッフ

  1. 食材のおいしい食べ方や、生産者の想いを伝える仕掛けを考え、実行すること
  2. 細かい気配りや、コミュニケーションを通して、おいしく楽しいバーベキュー体験を提供すること

BBQ事務スタッフ

  1. 細かい気配りのもと、BBQ事業を裏側から支えていただけること
働く場所 バーベキューは、毎週土曜日に開催します。

  • 神奈川県藤沢市遠藤6190 弁慶果樹園内

打ち合わせは、都内などで随時行います。

働く時間 お仕事などの状況に応じて、相談可能です。
求める人物像
  • 農家を応援したい人
  • 農業が好きな人
  • 農業で起業したい人
  • 男所帯のファーマーズバーベキューチームに”女性目線”を取り入れてくださる人
雇用形態 事業のフェーズと関わり方に応じて相談させてください。
給与 事業のフェーズと関わり方に応じて相談させてください。
募集予定人数 複数名
応募方法 以下のフォームより、お名前/メールアドレス/電話番号/ご年齢/応募動機(短くて結構です)をお送りください。担当者から追ってご連絡させていただきます。質問や、ご相談等も受け付けております。
その他

 

 


2017年09月05日 | Posted in 農業おこし, 食・健康に関わる | タグ: , No Comments » 

関連記事