音楽人と音楽文化が育つ場を、つなぐ


好きなことを仕事にしているイメージが強いのは、芸術や芸能、スポーツあたりだと思う。

同時に競争が激しいイメージも強く、マイナーなジャンルでは、お金の循環規模も小さい。

ただ、価値観や働き方が多様化している今、好きなことに没頭する人と社会との接点を、見直すべき時期なのかもしれない。

 

LiveDeliは、クラシックやジャズのオーダーメイド演奏や、個人レッスンを、音大生あるいは音大出身者が直接届けるサービスだ。

演奏家は、謝礼をいただく演奏機会を得ることによって、演奏を仕事にすると共に、緊張感ある研鑽を積むことができる。

企画・運営は、ライブデリジャパンが行っている。2016年11月に創業したベンチャー企業で、2017年7月には、ヤマハが主催するビジネスプランコンテストで、アライアンス賞を受賞した。

 

今回は、LiveDeliを通して演奏を届けてくれる、演奏家の募集です。現役音大生だけでなく、働きながら演奏を続けている複業演奏家の方も、ご利用いただけるサービスです。

パラレル求人では、普段は事業を共に成長させる仲間を募集していますが、今回はLiveDeliのサービス利用者の募集となります。

 

ライブデリジャパンの仕事の拠点、新しいビジネスをデザインする、ボーダレス・コミュニケーションスペース”bit & innovation”を訪れた。

 

LiveDeliは、元々はITコンサルタントだった大山さんと、大学院生の安達さんが共同で立上げた。今年の4月からは、音大出身で現在も演奏活動を続ける、安在さんも加わっている。

 

代表の大山さんは、働きながら感じていた世の中の変化と、バックパッカーの経験から、音楽のマッチングサービスに関心を持っていた。

「個人の求めるものが多様化してきている中で、もっと多様な人同士がつながりあい、その要望に応えていくサービスが必要だと考えていました。」

「私はよくバックパック一つで海外を旅します。二十歳から始めて、アジアの他に、中東、中南米など、いろいろ回りました。」

「中でも、ニューヨークでの体験は印象的でした。駅の構内でサックスを吹いている人がいたり、バイオリンを持って電車に乗ってきて弾き始める人もいたんです。」

「そんな突然の出来事にも関わらず、乗客が演奏を楽しみ、チップの形で称える光景が、素敵に思えたんです。日本では、路上ライブを堂々と楽しむ、という行為が少し恥ずかしいと感じられがちですが。」

 

大山さんにとって、音楽というジャンルは、ゼロからのチャレンジだった。

「音楽は、ビジネスとは遠いイメージですが、誰もやらないからこそ自分がやろうと思いました。」

「私はクラシックやジャズのジャンルに詳しいわけではありませんが、そんな自分でも、LiveDeliの演奏家のパフォーマンスを聴くたびに『素敵だな』って思うんです。やっぱり生演奏は、本能的に良いと感じられるものだと思うんですよ。」

「現状では、クラシックやジャズは高尚なイメージですが、私は聴く側の視点から、もっと気軽に楽しめるものにしたいんです。」

 

安達さんは、小学校2年生から高校2年生まで、合唱団に所属していた。

「僕は大学で理系に進みましたが、合唱団の友達の多くは音大に進学しました。」

「友達が、音楽で食べていくことに苦労している状況を見て、何か新しい道筋を作れないかと思っていたんです。」

 

アイディアを形にしようと参加したイベントで、大山さんと出会った。

「自分の想いを形にしたかったので、大阪の大学を休学して上京していました。事業プランを形にする起業イベントで、大山と同じチームになったんです。」

「今は復学していますが、来年の3月で大学院を修了するので、全力でLiveDeliを成長させたいと思っています。」

 

今年の3月には、保育園や幼稚園の子どもたちに生演奏を届けるべく、クラウドファンディングに挑戦した。

「いくつかの場所で演奏会を実施しましたが、子どもたちの反応が一番印象に残っていました。」

「演奏前の音出しから興味津々で、別室でやっているにも関わらず覗きに来たり、演奏前はざわざわしていたのに、演奏が始まった途端に静かになって、立ち上がって集中して聴き出したりしていました。」

「もっと多くの子どもたちに届けたいと思い、クラウドファンディングに挑戦することにしたんです。」

クラウドファンディングは、目標金額を達成し、今まさに子どもたちに生演奏を届けているところだ。

 

安在さんは、クラウドファンディングをきっかけに安達さんと知り合い、LiveDeliの一員として動き出した。

「想いに共感して、クラウドファンディングを手伝い始めました。音大のつながりで、校長先生を紹介したり、親しい方を紹介させていただきました。」

「『これは音大にも協力してもらうべきプロジェクトだ!』と感じたので、校長先生へ電話して『お久しぶりです!今こんなことやってるんですけど、話しに行ってもいいですか?』と言って、いろんな人に会いに行きました(笑)。」

「安達さんと知り合ったのは4月でしたが、実はその月が前職の最終出社月で、いろいろと動いていた時期だったんです。」

 

安在さんは、音大卒業後の3年間、一般企業に勤めていた。

「本当は音楽を仕事にしたかったんですけど、身近に演奏の仕事だけで食べている先輩がいなかったんです。」

「音大の同期は、演奏を続ける道を選ぶ人が多かったのですが、私は普通に考えてしまったというか。」

「生活のことを考えると、月々いくら稼ぐ必要があって、それだと週5日働かないといけない、という現実にぶつかりました。」

「休みの日に演奏活動は続けていました。クラシックのトリオで、チケットを作って集客して、お金は求めず演奏していました。」

「だから、3年間は全然音楽の仕事をしていなかったんです。」

 

企業で働くうちに、音楽を仕事に出来ていない自分に、徐々に疑問を感じ始めた。

「ベンチャー企業に勤めていたのですが、仕事についていくのが大変でした。」

「『自分は音楽しかやってこなかった』ということも、自信の無さにつながっていました。」

そう感じるうちに、20年間やってきた音楽への向き合い方を、改めて考えるようになった。

「『なんで今まで学んできたことを、社会に活かそうと思わなかったんだろう』と考えるようになりました。そう考えるうちに、音楽を仕事にしようと、思えるようになっていったんです。」

 

それから、音楽を仕事にするために、個人で動き始めた。

「様々な分野のフリーランスの方から学ぶ中で、個人のスキルを売り買い出来るサービスがあることを知りました。『得意なことを商品に出来るなんて!』と感動して、そのサービスを使い始めたんです。」

「『出張演奏やります』というメニューを作って売りだしました。」

「演奏がしたいというのはもちろんなんですけど、大学で空間芸術という観点から音楽を学ぶ機会があり、その学びが着想の元になっています。」

「演奏家がお客様の空間にお邪魔して、直接音楽を届けたら、素敵なプレゼントになると思ったんです。すごくおもしろいことを考えてしまったと、自画自賛していました(笑)。」

 

LiveDeliへの共感は、出張演奏という共通点があったからだけではない。

「音楽の世界で生きてきた人は、演奏の仕事をしてお金をもらうことへの、理解が足りなかったり、抵抗が強いと感じてます。」

「私もフリーランスの方からアドバイスをもらった時は、『絶対やりたくない』と思いました(笑)。『音楽でお金もらうなんて絶対やだ。そんなこと絶対にできない。自分が好きでやっているのに、なんでお金が発生するの?』って勝手に思い込んでいました(笑)。」

「でも、企業で働いた経験を振り返ると、みんながそれぞれの仕事で価値を感じてもらい、その対価を受け取っていたんです。今では、私も、お金をいただくことに対して、柔軟に考えられるようになりました。」

「LiveDeliでは、お金をいただいて演奏する機会を得られます。『お金をいただけるだけの演奏をしなければ』と意識することが、音楽で食べていくことに向き合う機会になると思うんです。」

「私はずっと音楽をやってきた音楽人なので、これからも音楽に向き合い続けます。演奏家が生きていきやすい世の中にしたいというのもありますが、演奏家自身も変わっていかなければいけないと思っています。」

 

安達さんが頭に浮かべるのは、合唱団の頃の友達。

「みんなめっちゃうまかったし、10年も20年も続けてきたのに、音楽で食べていくのは厳しいんです。」

「僕は高校受験の時に、音楽科に行くか普通科に行くかで悩んで、僕には音楽は難しいなと思って普通科に行きました。高校時代は、もったいない選択をしてしまったなと思うこともありました。」

「今では、あの時普通科を選択した僕は、世間一般からは良い選択をしたと見られています。生活していく上では、普通科の方が安定を得やすいからです。」

「でも、自分のやりたい道を選ぶと生活が苦しくなるなんて、おかしな話だと思うんです。」

「僕はそこに新しい道を作りたいと思っています。」

 

大山さんは、演奏家の環境と共に、「音楽を聴く文化」そのものに変化を起こしたいと考えている。

「演奏家の方には、お客様への魅せ方など、技術以外のことも学ぶ場にしてもらえればと思っています。」

「LiveDeliをきっかけに、音楽だけで生活出来る人が増えればうれしいですが、それだけが全てではないと思っています。別の仕事をしながら演奏を続けるなど、多様性があって良いと思うんです。」

「演奏家として、音楽にどう向き合い、音楽と共にどう生きていくかを、見つける場にしていただきたいですね。」

「一方で、日本人は、生演奏を楽しんだり、活用したりすることが、まだ不慣れだと感じています。」

「LiveDeliを通して、『演奏家って家に呼べるんだよ』とか『楽器や曲を遠慮なくリクエストして良いんだよ』とか。そういう気軽さと、デジタルには無い音色の素晴らしさを感じてほしいんです。」

「生演奏サービスを利用することで、普段の生活の場がダイナミックに非日常に変わる。これを味わえる文化も、育てていきたいと思っています。」

 

本当にやりたいことは自分だけのオリジナルだから、自分で道筋をつけなくちゃならない。

そこにLiveDeliは、実践を通して、自分のスタイルを築き上げる場を作っていました。

演奏を届けてくれる方や、仕事としての音楽へ踏み出したい方々のご利用をお待ちしています。

(吉田大樹)

 

サービス LiveDeli
サービス概要
  • 幼稚園、保育園、高齢者施設、ホームパーティなどで、出張演奏をしていただくサービスです。
  • 登録いただいた演奏家の方に、LiveDeliから演奏の依頼を送らせていただきます。
演奏家登録及び演奏の流れ
  1. 会員登録後、初回面談
  2. 事務局から演奏依頼の打診
  3. 演奏可否の回答
  4. 当日、生演奏
  5. 月締めで指定銀行口座へ振込み

 

 


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